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著作権侵害してしまった場合

著作権侵害をしてしまった場合は、損害賠償請求をされたり、場合によっては刑事事件として捜査の対象になったりすることがあります。ただ、著作権問題においては損害賠償の金額を推定するのが難しく、相手方の提示額が適切でないことや、そもそも著作権を侵害していなかったということもあるため、相手に与えてしまった損害は補填する一方で、本来の必要以上の請求に対しては交渉をすることが重要です。

この記事では、著作権侵害をした場合に考えられることや、どのような対応をするべきなのか、といったポイントについて解説します。

著作権侵害をした場合に考えられること

著作権侵害をすると、著作権者からの請求が予想される他、事案によっては刑事事件になることも考えられます。ここでは、著作権をしてしまった場合に想定されることをご説明します。

  • 差し止め請求をされる
  • 損害賠償請求をされる
  • 名誉回復などの措置請求をされる
  • 刑事事件として責任を問われる
  • 大きな事案であれば報道されることも

1.差し止め請求をされる

差し止め請求とは、著作権の侵害をしている場合にその行為をやめるように請求することをいいます。例えば、インターネット上に動画を不当にアップロードしていた場合は、その動画を非公開にするように請求されます。また、差し止め請求をする際は、侵害行為に使われた機械や器具などの破棄を求めることもあり、パソコンや周辺機器の処分を要求されることもあり得ます。

2.損害賠償請求をされる

著作権侵害によって相手に損害を与えた場合は、損害賠償請求をされることがあります。実務上は著作権侵害の損害額を推定することは難しく、請求金額が実際の損害以上に高額になることもあります。そのような場合は相手型と損害賠償金額について交渉をする必要がでてきます。

3.名誉回復などの措置請求をされる

著作権侵害によって著作権者の名誉を傷つけた場合、名誉回復などの措置請求をされることがあります。具体的には、新聞や雑誌に謝罪文を掲載するなどの方法があります。

4.刑事事件として責任を問われる

被害者による告訴があった場合に、侵害者は刑事事件として責任を追及されることがあり得ます。著作権侵害の罰則は10年以下の懲役または1000万円以下の罰金と、重いものになっています。

5.大きな事案であれば報道されることも

著作権侵害は社会的に関心を集めやすい問題でもあり、ニュース性がある事件の場合はテレビやインターネットで報道されることも考えられます。企業にとって著作権侵害がニュースになることは、イメージダウンに繋がるので、問題が大きくなる前に対応をするべきです。

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著作権侵害をしてしまった場合の対応

著作権侵害をしてしまったときにやるべきことについてご説明します。

どこからが著作権侵害にあたるのか理解する
損害賠償をされたら、損害の有無や請求額の妥当性を検討する
刑事事件になった場合は刑事弁護を依頼する

どこからが著作権侵害にあたるのか理解する

まずは問題となっている行為が著作権侵害にあたるかどうかを理解しましょう。以下の3点を全て満たしている場合は著作権を侵害している恐れがあります。

著作権侵害にあたる3つの性質

  • 著作物性:既存の創作物に創作性があるか
  • 依拠性:新規の創作物が既存の創作物を参考に作成されたか
  • 類似性:新規の創作物が既存の創作物と似ているか
著作物性とは

著作物とは、思想や感情を創作的に表現したもののことをいいます。したがって、単なるデータや一般的なデザイン、事実を記した文章など、創作性がなく誰が作っても同じになるようなものには著作物性がありません。

依拠性とは

依拠性とは、新しい創作物がどの程度既存の創作物に依拠して作られているかということです。

例えば、同人誌などの2次創作は本家の作品を参考に作られているので依拠性があるということになります。ただ、著作権者にとって損害が出ていなかったり、名誉が傷つく恐れがなかったりするような場合は著作権者が請求をする可能性も少なく、グレーゾーンといえます。著作権者から何かしらの申し出があった場合は、素直に対応するべきでしょう。

類似性とは

見た目などが似ている度合いのことを類似性といいます。既存の創作物を参照することなく新しい創作物を作った際は、類似性はあるが依拠性はないため、著作権侵害にはなりにくいでしょう。

実際に交渉や訴訟になる際は、判例などを参照に当該行為が上記の性質を満たすかどうかという点が争われます。

損害賠償をされたら、損害の有無や請求額の妥当性を検討する

仮に著作権侵害をしていたとしても、損害が生じていない場合は損害賠償請求ができません。

損害賠償請求をされたら、次の2点を確認しましょう。

  • 相手方に損害が生じたかどうか
  • 損害が生じたなら、具体的にいくらなのか

著作権侵害の損害賠償請求では、損害額を推測して請求するのが一般的です。具体的には、模造品の販売部数にオリジナル商品の単価をかけて、著作権侵害がなければ得られたであろう金額を請求します。

例えば、定価500円の漫画の海賊版を1,000部販売したとしたら、500円×1,000部で500,000円の請求がされます。

もっとも現実の事案では上記のようにスムーズに損害額を推定するのは難しく、どのような根拠で損害賠償額を決めているのかが争点となります。確かに、著作権侵害で相手に損害を与えたら補填をするべきですが、実際の損害以上の金額を払わなければいけないかというとそんなことはありません。

刑事事件になった場合は刑事弁護を依頼する

著作権侵害や違法アップロードなどで逮捕されたり在宅事件になったりした場合は、刑事弁護の依頼をしましょう。

特に、逮捕された場合は最大で身柄を23日間拘束されるため、その間社会生活をおくれなくなります。さらに、日本では起訴されれば99.9%有罪となるといわれており、刑事罰が下されるほか前科がつくといった問題があります。

刑事罰や前科を避ける上では、不起訴を得ることが重要です。不起訴になれば刑事裁判が行われないので、刑事罰を下されることも前科がつくこともありません。

不起訴を得るためには、被害者と示談交渉をして和解を得る必要があります。著作権や刑事事件に詳しい弁護士に示談交渉の代理を依頼しましょう。

まとめ

著作権侵害で損害賠償請求をされたら、①著作権侵害を本当に侵害しているのか、②損害賠償の金額は適切なのか、といったポイントを確認しましょう。

本来の損害以上の請求をされた場合は、その旨を伝えて交渉をする必要がありますが、著作権を侵害しているのであれば交渉では不利な立場に立たざるを得ません。金額が高額な場合などは、弁護士に交渉の代理を依頼しましょう。